DISC REVIEW BOAT、Seameal/Split
BoatとSeamealに寄るスプリット。レコード屋で500円と叩き売りに合ってるところをお救い致した。
カラーレコードでとってもおされ。
後でオークションの価格を見て、ヒェ!となった。今でも色褪せない人気と支持され続ける両バンドに敬服。
聴きどころは、jigsawの名曲というかミルマスカラスのテーマソングでお馴染みのSKY HIGHをカバーし合っている。BOATのVer.はスケール感と変態的アレンジで圧倒させられる。Seamealのミクスチャーっぽいアレンジも◎。
DISC REVIEW HOMMヨ/ライカ
都内で活動する3人組ガールズロックバンドの7inch。
表題曲である『ライカ』
今までの彼女たちのイメージと言えば、ジャジーな男前な姉御肌気質さであった。
しかしレコードの針を落として聞こえてきたのは、Ogre You Assholeを感じさせる美しいギターのメロディ。正直面食らってしまったが、また同時にHOMMヨが新境地を発見した、と感じた。
不思議とDavid BowieのSapce Oddityを思い出した。
恐らく曲のインスピレーションになったであろう、人類のエゴに巻き込まれ片道切符の旅に出されたライカ犬。それと青い地球の美しさに心奪われながら宇宙空間に漂うトム少佐がシンクロしたのだ。
もの哀しい曲ではあるが、何度も聴きたくなる、ついつい深読みしたくなるニイマリコの歌詞が印象的だ。
漆黒の宇宙空間の中で漂う一匹の犬と宇宙飛行士を見つけるように、それまでどこか他人を突き放す様なイメージがあったHOMMヨに暖かい温度をみつけた。
DISC REVIEW 股下89/3rd demo
EMIのコンテストでの優勝や、FUJI ROCKのROOKIE A GO-GO出演など輝かしい経歴を持つ東京拠点に活動する女子4人組。
#1DAIKOKUSANからMarianne Faithfulや浅川マキを彷彿とさせるハスキーボイスのVoあじまの存在感が際立つ。気怠そうに放り投げる言葉が紡ぐ退廃的な世界観に吸い込まれていく。
特筆すべきはGuこばやしの引き出しの広さだろう。#2原始くんのクランチトーンのキレッキレ具合やハードロック調の濃厚なリフ、#4akie futatabiで見せる美しいアルペジオと枯れたカッティングワークを聞けば彼女がタダ者ではないことは火を見るより明らかだ。
勿論、全曲に渡り気骨のあるBaを弾くえらと、度々のテンポチェンジに柔軟に対応し随所小ワザが光るいしかわのDrもいぶし銀だ。
鈍色に輝くナイフを喉元に突きつけられるような危険な匂いと、こじらせた狂気をしっかり薫陶させられた。
唯一不満があるとすれば、露出の少なさぐらいか。もっとライブが見たい。
DISC REVIEW fuck/conduct
オークランド出身のLo-fiオルタナバンド。
2008年にDrのGeoff SouleがTara Jane O`neilのJapan Tourに帯同していたので覚えてらっしゃる方も多いかと思います。
#1のthe thingの2ビートのハードコアチューンから始まりこらどうなることかと面食らったが
#2drinking artistからは曲数を重ねるにつれグッとメロウに。後期pavementに通じる哀愁ある曲群にうっとり。
#10alice,all i want is aliceで再度徐々に曲調は明るくなるが、
#13のtwist offでの切れかけの電池でアンプを鳴らしたような枯れたギターの音にまたメランコリーな気分に引き戻される。
Lo-fiといえば、pavementというアイコンの巨大な影に隠れがちになりますが(ちなみに本作品もレーベルはMATADOR)、このfuckというバンドもかなりの良バンドです。
2014年に再結成するようなアナウンスもHP上でされていた様ですが、結局どうなったのでしょうか?
DISC REVIEW DUB NARCOTIC SOUND SYSTEM/BONE DRY
Calvin Johnson率いるDUB NARCOTIC SOUND SYSTEMの4作目「BONE DAY」
正直なことを言うとCalvinの歌は苦手で、低音で気怠く唄うスタイルが睡魔を呼び寄せてしまう。そんなもんで、BEAT HAPPNINGのアルバムを集めたのも「私はKレーベルが好きなのだ!」という自己満足と、周りの人間への顕示欲の為に揃えたようなものだった。
初めてこのアルバムを聞いてCalvinの歌イイじゃん!と。軽快なファンクのリズムでダンサブルな演奏が、ダルいCalvinの歌をいい具合にダビーな雰囲気に仕上げています。
ほぼ全曲1グルーヴで進みますが、そこに退屈さはなく徐々に高揚していくCalvinのシンガロングは胸熱。Kレーベル特有のローファイさは勿論のこと、邪教の儀式に迷い込んでしまった様な危うさをも感じさせられた。
どのレコード屋に行ってもDUB NARCOTIC~のLPは置いてあるので入手には不便しないし、値段も安いのでコスパの良い商品だと思う。
DISC REVIEW STORM&STRESS /STORM&STRESS
日本のマスロックシーンに多大な影響を与えた現BATTLESのIan Williamsが率いるバンドStorm&Stress
そのIanが当時在籍したDon Caballeroにこの後加入し、現在はTanlinesのフロントマンとして活躍するEric Emmをベースに据え、最近惜しまれながら解散したCoptic Lightに在籍したKevin Sheaがドラムといった揃いも揃えた馬鹿テクのメンバー構成。プロデューサーは勿論Steve Albini御大。
一見フリーキーで整合性のない演奏が続き少し戸惑いますが、ある部分で一分のズレもなくピッタシあっていく様はやはり圧巻。インプロやフリージャズを基盤にし鬼の様な演奏力がキャッチーなフレーズを持って推進する、今私が知っているIan Williamsのスタイルはこの頃から健在だったという事が垣間見えます。
このアルバムが後にリリースされるDon Caballeroの「What Burns Never Returns」と「American Don」の後期の名作品2枚を生み出す一つの布石になったのではないかと感じます。
多分。
DISC REVIEW THE RED KRAYOLA /FINGERPAINTING
参加アーティストもDAVID GRUBBS(ex.Bastro、Gastr del Sol)を筆頭にいわゆるその手の人達が集まっていて豪華(だと思う)。
中でもGEORGE HURLEY(ex.Minutemen)のドラムが聞けるのが嬉しい(ずいぶん前にメイヨ・トンプソン名義で来日した時のドラムも彼だった)。
内容はメイヨトンプソン節というか、いつも通り(?)の即興をメインとして組み立てられている曲で構成。
本当に色々な音が入ってゴチャゴチャはしているのだけれども、くどくなり過ぎずやり過ぎずの境目で遊んでいるので耳に優しく入り込んでくる。
何よりもメイヨ・トンプソンの気抜けしたあの声がスピーカーから飛び出してきたら思わずホッコリしてしまう、あの感じは勿論このアルバムでも健在。
凄く感想の書きにくい題材を選んでしまったと後悔。一曲一曲をレビューするのは凄く難しいけど、良い意味で聞き流せます(実際、私も作業用BGMとして愛用)。
フォローのような言葉になりますが、私が持っているRED KRAYOLA関連の音源の中でもお気に入りです。
RED KRAYOLA関連の音源は手に入りづらいけれど、割とLPは見かける気がするしネットで見る価格よりかなり安く買える気がする。
ご参考までに。